防災・復興を学ぶ学生が見たクールジャパン
2023年1月25日から2月2日の9日間にわたり、フィジー、パプアニューギニア、パラオ、そしてソロモン諸島から防災・復興を学ぶ大学生17名と引率者2名の計19名が来日しました。「防災・復興」をテーマに、東京都内および和歌山県で多様な日本の取組に触れ、それぞれの視点から「日本の在り方」を考えてもらいました。
都内では、誰もが体験できる防災の取組を紹介している施設を訪問。「災害」と一言で言っても、地震や火災(初期消火、避難)、水害など様々な場面を想定したプログラムが体験でき、実際に災害が起きた時に「まずは自分の身は自分で守る」ことの大切さなどを学びました。
とくに地震や水害は、彼らの国や地域では身近に起きる自然災害であるため、アトラクションを楽しみながらも真剣に学ぶ姿勢が感じられ、またこのような施設を誰もが予約すれば訪問して訓練を受けることができることに感心している学生も多くみられました。
都内でのプログラム実施後は、憧れの新幹線、特急列車に乗って和歌山を訪問。移動日含めて研修期間中は寒さがピークを迎え、雪も降ったことで、寒いながらも初めて見る、触る雪に大興奮の学生たちでした。
和歌山県庁への訪問では、県の防災にかかる予算が、国一つの予算並みであることに一同驚くとともに、非常に闊達な意見交換をする機会となり、30分を予定していた訪問が50分を超えるくらい盛況となりました。その後、国際交流が盛んな県立高校を訪問し、少し若い日本の世代の学生たちと日本の文化などについて話をするとともに、放課後の部活動の様子を見学するなど、日本の教育の仕組みなどについても学習できる、貴重な交流機会となりました。
また、和歌山では交流プログラムに加え、防災や復興にかかる歴史を紹介する施設「稲むらの火の館」を訪問。自然災害が頻発しているその地域で、どのように対処し、どう復興に向けて取り組んでいったのか等を語り継いでいる同地域・施設を実際に目の当たりにし、いかにして地域コミュニティや学校を通じて、防災への意識向上が養われているのかを深く考える契機となった様子でした。
その他、漆器絵付け体験や世界遺産登録されている熊野古道や那智大社などの散策、観光地である南紀白浜や千畳敷、三段壁なども訪問し、思い思いに写真を撮るなどリフレッシュすることもできました。
東京に戻った後は、日本の文化や伝統を重んじることがわかる皇居や浅草、明治神宮散策のほか、災害が起きた後72時間をどう生き抜くか、というテーマで被災した街での生きる力をシミュレーションできる防災体験学習施設「そなエリア東京」の訪問などを行いました。プログラム全体を通じ、参加した学生達は常に明るく積極的で、どんなときでも日本の良さを知ろうとする意欲があり、「ありがとうございます」「いただきます」など、日本語を使うことを試みながら各訪問先の方々と良い関係を築いていました。
最終日の報告会では、「防災にかかる意識や準備の重要性」や「学校・地域での防災訓練」、「情報データの蓄積やテクノロジー」、「まちなかでの防災にかかる案内表示」等、官民一体となって防災に取り組む「日本の姿」をしっかりと認識し、彼らの言葉でしっかりと報告していました。またこの学びを帰国後のアクションへとつなげていくことの大切さを理解し、きちんと発信していくことを、それぞれ宣言していました。帰り際、ほぼすべての学生が日本を惜しみながら旅立っていく姿を見て、とても充実した日本滞在となった事が伺えました。
近い将来、彼らが自国と日本の架け橋となり、このプログラムの経験を自身の国や地域で未来へ活かしていってくれる事を願っています。